「子どもの良さを認める指導」、 スクールワイドPBSとは

どもの良さを認める指導」は、米国で開発されたスクールワイドPBSをベースにした学校全体で実施する児童・生徒指導の指導体制のことです。スクールワイドPBSは、School-Wide Positive BehaviorSupport(SWPBS)のことで、最近では、SWPBISとも呼ばれています。School-Wide Positive Behavior InterventionSupport

米国オレゴン大学で研究開発された児童生徒指導システムの名称です。現在では、米国で広く用いられています。応用行動分析学の考え方に基づいたもので、子どもの適切な行動に注目し、適切な行動を増やすことにより、子どもの問題行動を減少させます。

TILA研究所が提供するスクールワイドPBSは、代表の石黒が校長として勤務していた学校の秩序を回復するために、米国で用いられていたSWPBSを日本の学校で導入しやすいように改変したものです。石黒が行ったスクールワイドPBSは、米国のSWPBS と基本的な考え方は同じです。しかし、「生徒の適切な行動を強化する」だけでなく、生徒指導の三機能である「自己存在感を与える」、「自己決定の場を与える」、「共感的人間関係を育成する」仕組みがあります。子どもの自己指導能力を高めることを意図しており、以下のような特徴があります。

TILA教育研究所のスクールワイドPBSはここが違う

○子どもの良いところ・できていることを認める指導

○子どもの自己指導能力を高める指導

○子ども同士、子どもと教師が互いに認め合う関係をつくる取組

○学校として一貫性のある指導体制をつくる

○子どもも教師も自我関与する仕組み

従来の児童生徒指導と認める指導との違い
叱ることが中心の指導
◯不適切な行動が起きてからの指導となるため後手になる
◯不適切な行動に注目する
◯不適切な行動を減らす指導
◯注意したり禁止したりが増える
◯ネガティブな働きかけ
◯教師との関係が悪くなることがある
◯問題行動は一時的に減るかもしれないが、適切な行動は増えるとは限らない
適切な行動を認める指導
◯日常的に(事件が起こる前に)働きかけができる(予防開発的な指導方法)
◯適切な行動に注目する
◯適切な行動を増やす指導
◯褒めたり認めたりが増える
◯ポジティブな働きかけ
◯教師との関係が良くなる
◯問題行動が減り、適切な行動が増える
子どもの良さを認める指導のここがポイント!

1 子どもの良さやできているところに注目します

 ほめるだけの指導ではありません。子どもの適切な行動に注目して、それを「認める指導」を積極的に行います。そして、もちろんダメなことはダメと教えます。

2 環境調整です。

 スクールワイドPBSは学校の全ての児童生徒を対象に行う一時的支援です。学校の全ての児童生徒を対象に実施し、落ち着いて安定した学校づくりをします。

3 予防的な指導方法です。

 児童生徒の問題行動が多く生じている学校では、教師が問題行動の対応に追われ、つい後手後手になりがちです。スクールワイドPBSでは、日常的に問題の生じていないときから児童生徒に働きかけを行います。つまり、問題行動を予防する指導方法です。荒れている学校だけでなく、どのような学校でもさらに学校をよりよくしていくことができる指導方法です。

4 包括的な目標設定をします。

 児童生徒の行動上の「ルール」は、あえて包括的な表現を用います。例えば「大切にする」というルールを教師と児童生徒で共有しているとします。指導の際に、「授業中、自分を大切にする行動とは…、友だちを大切にする行動とは…」などのように、具体的な行動を児童生徒に指導として考えるように促します。また、あえて包括的な表現にし、指導の際に児童生徒が自らの行動について考えることにより、他の行動への般化を意図しています。

5 学校として一貫性のある指導を行います。

 指導の基準(指導に関する考え方)や日常の教師の関わり方や問題行動の指導をスタンダード化することで、学校として一貫性のある指導体制を作り上げます。

6 教師も子どもも自我関与する仕組み。

 スクールワイドPBSを学校に導入する段階で、児童生徒や教師が体制づくりに関与する仕組みがあります。児童生徒が問題行動を起こした時は、「ルール」を基に考えさせる指導に重点を置いています。人には、自分が関わったことを大切にしようとする心の働きがあります。児童生徒、教師が一緒に「より良い学校づくり」に関わることで、児童生徒と教師間に協働体制を創り上げることをねらいにしています。

7 叱らない指導ではありません。

○不適切な行動は指摘して、生徒が適切な行動がとれるように指導する。

○その際、強く叱責したり、感情的になったりする必要はない。

○自分の行動をふりかえり、どのようにすれば良かったかを考えさせることが大切。

(メタ認知させる。)指導に手間はかかるが、大切なプロセス。認める機会

○強い言葉で指導するのは、緊急の時や命に関わる重大なとき。

○子どもだからと思わず、一人の人として尊重する。

○「教師」と「生徒」は役割。自分の役割を理解して、行動できることも大切。

(信頼関係がないと、役割は尊重されない)